インピーダンス制御基板とは？

          
          急に難しいタイトルになりました
          昨年末　急にこのような仕様の仕事がきました
          内容は　詳しくは言えませんが
          あるパターンのインピーダンスを２５Ωにすること
          別の　平衡線路のインピーダンスは１２０Ωにすること
          というものです
          
          以前ＳＣＳＩのＬＶＤ基板でパターンインピーダンスを
          １００～１２０Ωにするように指示されましたが
          恥ずかしながら　計算式がよくわからず　
          あーだこーだ　している内にＳＣＳＩの開発自身が
          割に合わないということで　話しが止まってしまいました
          これは　国内でやっているよりは　台湾製を買ってきて
          売ったほうが良いという　経営判断のようでした
          
          話しを前に戻しまして
          まず　あるパターンのインピーダンスを２５Ωにする件ですが
          これは裏面がＧＮＤベタにするので　マイクロストリップ回路に
          なります
          これは近似式がありまして　おおよそ次のとうりです
          
          Ｚ＝（８７／（√（Ｅｒ＋１。４１４））＊　ｌｏｇ　ｅ　＊
          　　（５。９８＊Ｈ）／（０。８＊Ｗ＋Ｔ）
          
          Ｚ　＝特性インピーダンス
          Ｅｒ＝基板の誘電率　約５
          Ｈ　＝ＧＮＤベタとパターンの距離
          Ｗ　＝パターン幅
          Ｔ　＝パターンの厚み
          ｌｏｇ　ｅ＝２。７１を底にした対数
          
          通常　対数は１０を底にしているので　ｌｏｇ　ｅの場合
          底の変換公式を使います
          
          ｌｏｇ　ａＢ＝ｌｏｇ　ｃ　Ｂ　／　ｌｏｇ　ｃ　ａ
          　　ただし　ａ、Ｂ、ｃが正数で　ａ！＝１　ｃ！＝１の時のみ
          
          この式を見て　何を判断するかといえば
          まずパターン長がどこにもでていないことです
          そして　周波数を知らなくてもインピーダンスが
          求められる点です
          
          インピーダンスというのは　高校の電気の項目に
          嫌というほどでてきます
          そして　嫌でした　よく理解できなかった思いがあります
          
          でもこのプリント基板の業界もだんだん　これらを
          理解する必要にせまられつつあるようです
          正月休みは　ほとんどこの勉強でした
          私の場合　その直前にとても良い教科書を手にいれて
          いたので　理解がはかどったと思います
          休み明けにお客の所に　打ち合わせにいったところ
          その人は　電機大学教授の書いた本を手にしていました
          確かにどのようにして　式を導いていくかは
          よくでていましたが　プリント基板との接点は何も
          書かれていません　一般論も大事だが　これにはどのように
          使うんだ！？　という感じでしたね
          
          私の教科書はオーム社の　プリント基板のＥＭＣ設計　という
          本です
          翻訳本ですが中身は充実していて　４０００円といい値段ですが
          これを本業にしている人は　ぜひ買うべきです
          ＤＲＥＡＭ　ＣＡＤもぜひ　この内容をＣＡＤのＤＲＣに
          反映してもらいたいと　切望しています
          
          元に戻って　このお客の希望はインピーダンスよりも
          パターンインダクタンスを８ｎＨ以下にしてくれという
          要望もありました
          これも　この本を見ると理解できます
          
          簡単に説明すると　基板には信号の遅れがあり
          それをインピーダンスで割るとパターンのキャパシタンスが
          求まる
          Ｚ＝√（Ｌ／Ｃ）より Ｌが求まる
          という事です
          
          信号の遅れ　伝搬遅延は基板の誘電率により決まるので
          後はインピーダンスを調整して
          インダクタンスを希望範囲内にいれるわけです
          
          という訳でマイクロストリップの場合ある程度のパターンの形は
          作れそうです
          
          問題は　平衡線路のインピーダンスでした
          これはどの本を見ても　求める式はありません
          最初は考え方も解りませんでした　インピーダンスという以上
          Ｌ，Ｃ，Ｒ，の値を決めなければいけませんが
          Ｒは直流抵抗なので　ほぼ０に近く　これは無視してもいいとは
          思いました
          Ｌは１本の線でも発生するものです　パターンの幅、長さ、周波数を
          いれると　インダクタンスをだす　式というかソフトは
          外国製のがあります
          でも考え方がわからないので　恐くて使えないのと
          この場合なぜ周波数を入れるのか？が疑問でした
          Ｃについては　必ず相手が必要です
          マイクロ。。。の場合ＧＮＤベタがその相手です
          
          平衡線路の場合？？　やはり相手の線がＣの相手でもあります
          平衡線路とは　ＶＨＦテレビのアンテナケーブルですが
          これは３００Ωです
          １０メートル使うから３０００Ωとは言わないし
          周波数が違うから　教育テレビは４００Ωとも言いません
          やはり　長さも周波数も関係ないだろう
          
          私自身　昔はアマチュア無線でアンテナも幼稚ながら自作したことも
          あり　その道の先輩もいるので　正月早々　お邪魔して
          聞いてみましたが　そのような式はみたことがない
          といわれ　町の図書館に行きましたが　知りたいような専門書も
          なく　ヤフーで検索しても　それらしいのに行き当たりませんでした
          
          聞く人いわく　そうゆうのは　カットアンドトライ　の世界だから
          似たようなパターンを真似て　やるしかない　と
          みんながみんな口をそろえて言いました
          
          正月明けの打ち合わせには恥じをかかないようにと
          褌をしめて準備にいそしんだのに　もう　しょうがない　と
          腹をくくり　開き直ってお客と打ち合わせをしました
          
          この件については　解らないから　サンプルを見せて欲しいと
          
          その人は理解してくれて　１２０Ωの平衡パターンサンプルを
          教えてもらい　さあ　後は部品資料が揃えば　やるだけだなと
          思っていたら　次の日　
          
          今回は中止になりましたとの電話
          
          やはりお客も不安なんだなと思いました
          私も何も言わず　任せろとだけ言って帰ってくれば
          良かったのかもしれないけど
          この世界（高周波）は計算どうりにはいかないと
          つくずく　先輩諸氏にいわれているし　
          今回は部品実装　直　納品というスケジュールなので
          これで良かったのかなと納得もしましたが
          
          多少さびしい　休み明けでもありました
          
          
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